私が日本習字の資格を取得したのは中学生の頃でしたが、その経験は大人になった今でも大きな財産となっています。
「字がきれいになりたい」「書道を始めてみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。特に大人になってから、手書きの文字の大切さを実感する場面が増えてきたと感じる方は多いでしょう。
資格を取得してからは、履歴書を書くときや年賀状を書くとき、「字がきれいですね」と褒められることもあります。
また、普段のメモ書きでも自然と丁寧に書けるようになり、周りの方に読みやすいと言っていただけるようになりました。そんな嬉しい経験ができるのも、幼い頃に日本習字に挑戦したからこそだと実感しています。
この記事では、日本習字の資格を取得することで得られるメリットや、実際の体験談を交えながら、資格取得までの道のりをご紹介します。
「大人になってから始めるのは遅いかな」と迷っている方も、きっと新しい一歩を踏み出すきっかけを見つけていただけるはずです。
この記事を書いた人
佐藤みき
書道に興味を持った小学校2年生~中学校までの約8年間、習字教室に通い、初等師範免許を取得しました。
書道を習ったことで、集中力・忍耐力・観察力が培われ、日々の生活に役立っています。
その他にも、いろんな資格に興味があり勉強中です。一緒に楽しく学びましょう!
日本習字とは?
日本習字は、昭和28年に原田観峰氏により創立されました。「正しい美しい愛の習字」の基本理念とし、書道教育及び書道文化の振興を図り、国際交流を促進し、もって日本文化の伝承・発展を目的としています。
詳しい概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
費用 | 入会金+会費(手本代)+( 月謝 )が必要 ※詳しくはこちらをご覧ください。 |
学習時間 | 師範資格取得には5~8年程度の学習期間が必要だといわれている |
試験の内容 | 作品を提出し、実力によって段位級が認定される |
資格の要件 | ・日本習字の教室へ通うか、通信講座で学ぶ |
得られる知識 | ・書道技術の向上・書道史や用具に関する知識・美しい文字を書くための実践的スキル・指導者としての教育方法 |
合格率 | 段位や年度による変動、日本習字八段試験の合格率はおおよそ30%前後 |
日本習字の段級位認定・師範認定とは?
日本習字では、受講生それぞれの審査基準に基づいて、段級位の認定を行い認定証を交付します。師範認定合格者に対しては免許状が交付されます。
段級位認定とは?
書道の世界での段級位認定は、習字の上達度を客観的に評価するシステムです。毎月届くお手本をもとに練習を重ね、書き上げた作品を教室の先生に提出します。提出された作品は、日本習字財団の専門家に届けられ、丁寧に添削されます。
全国共通の基準に基づいて評価されるので、
同じレベルなのに、私だけ段位級が低い…
という心配はありません。実力が正しく評価されます。
評価基準は文字の形や大きさ、バランス、筆の運びなど、さまざまな観点から総合的に判断されます。10級から始まり、徐々にステップアップしながら1級へ、そして初段へと進んでいきます。
以下にそれぞれのコースに応じた段級位をまとめました。
幼児部・小学部・中学部
10級 | 9級 | 8級 | 7級 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 |
↓
準初段 | 初段 | 準二段 | 二段 | 準三段 | 三段 | 準四段 | 四段 | 準五段 | 五段 | 準六段 | 六段 | 準七段 | 七段 | 準八段 | 八段 |
漢字部
8級 | 7級 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 |
↓
準初段 | 初段 | 準二段 | 二段 | 準三段 | 三段 | 準四段 | 四段 | 準五段 | 五段 | 六段 | 七段 | 八段 |
ペン部・かな部
8級 | 7級 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 |
↓
準初段 | 初段 | 準二段 | 二段 | 準三段 | 三段 | 準四段 | 四段 | 準五段 | 五段 |
臨書部
8級 | 7級 | 6級 | 5級 | 4級 | 3級 | 2級 | 1級 |
↓
準初段 | 初段 | 準二段 | 二段 | 準三段 | 三段 | 準四段 | 四段 | 準五段 | 五段 | 六段 | 七段 |
日本習字師範認定とは?
師範とは、書道の各会派、団体ごとに定められた基準をもとに認定されるもので、統一ではありません。各会派や団体の最高位の師範を目指すことが可能です。
とはいえ「師範」と聞くと、「すごい資格だ!」と感じてもらえるケースが多いので、ちょっと自慢できます。そして、取得すれば日本習字の教室を開けますよ。
師範になるための年齢制限はありません。スキルさえ磨くことで、資格を獲得できますよ。
日本習字師範認定にかかるまでの期間
師範免許取得まで個人差があります。
一般的には最高位の教授免許状(五段)の場合は最短5年、ゆっくり学習される方の平均で8年程度だといわれています。
日本習字の師範認定を受けるメリット
師範を獲得することで、書道の先生になれます。
ただし、師範には階級が設けられており、段数によって指導できる対象に制限が設けられています。
- 教授免許初段:小学生以下
- 二段:中学生以下
- 三段:高校生と二段保有の一般人まで
- 四段:三段保有の一般人まで
- 五段:すべての指導が可能
書道教室の先生になりたいという方は、試験を受けまずは「師範」の免許に挑戦してみましょう。
日本習字で「師範」を獲得するためにやったこと
日本習字で「師範」を獲得するために行ったことは2つあります。
- 習字教室に通った
- 会場で実技・昇段試験を受けた
この2つをクリアすれば、日本習字の「師範」を獲得できますよ。
ぜひ参考にしてみてください。
習字教室に通った
各教室によりますが、私の場合は習字教室を週2回通い、1回2~4時間集中して書を書いていました。やはり、書道に集中して取り組む環境が整っているため、教室に行くととても気が引き締まります。
現在では、通信講座もあり、近くに習字教室がない方でも自宅で気軽に習えます。そのため、「習字教室に通わなければならないから難しいなぁ…」と悩む必要はなく、ご自身に合う方法を選択すれば問題ありません。
会場で実技・昇段試験を受けた
受験当日は、会場で実技と筆記試験を受けました。
当時は、試験会場まで車で3時間かけて移動しました。慣れない環境だったこともあり、今までにないほど緊張していたのを覚えています。緊張で手が震えるのを堪えて実技に挑み、ある程度の度胸が身についたと感じています。
現在は、前項同様に自宅や習字教室での在宅受験になっているため、より受験しやすくなっています。過度な緊張もなく、いつも通りの実力を発揮できるでしょう。
大人が日本習字の試験を受けるメリット
大人が日本習字の試験を受けるメリットは、以下の4つです。
- 美文字が手に入る
- 集中力・忍耐力が身につく
- 教養が身につく
- ちょっと自慢できる
日本習字を習おうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
美文字が手に入る
書道を習うことの最大のメリットは、美文字が手に入ることです。
昨今はパソコンでの入力が多くなっていますが、手書きでささっと書いた字が綺麗で読みやすかったら、他の人にも一目置かれることでしょう。
特に履歴書を記載する時は、少し丁寧に書くことを意識するだけで、読みやすい字を書けます。
私は、字が汚くて履歴書を書き直したという経験はありません!
集中力・忍耐力が身につく
書道の練習では、お手本を見ながらひたすら練習するため、集中力と忍耐力が必要です。集中力が切れてしまうと、いくら見ていてもお手本通りに書けず、筆が思うように動かないことがあります。
書道の練習と同時に精神的な鍛錬にも繋がるでしょう。
教養が身につく
書道は単なる文字を美しく書く技術ではなく、日本の伝統文化や芸術性を学ぶ素晴らしい機会となります。
たとえば、古典の名筆を臨書することで、その時代の文化や歴史的背景に触れることができ、新たな視点や教養が自然と身についていきます。また、習字教室に通うことで、書道具の扱い方や作品の鑑賞方法など、日本の伝統的なマナーも習得できます。
さらに、同じ志を持つ仲間との交流を通じて、互いに高め合える関係を築くことができ、日々の生活に新たな彩りが加わります。このように、書道は技術の向上だけでなく、人生を豊かにする教養を育むことができるのです。
ちょっと自慢できる
書道は日本の伝統文化として広く認知されており、習得している人は知的で落ち着いた印象を与えることができます。
たとえば、職場での雑談や新しい出会いの場で「書道を習っています」と話すと、「すごいですね!」「どんな作品を書くんですか?」と興味深く聞かれることも。また、年賀状や贈り物のメッセージを美しい字で書けることは、さりげない自慢になります。
普段はデジタルツールが中心の現代だからこそ、手書きの文字で心のこもった贈り物ができる書道は、自分の魅力を高める素敵な特技となりますよ!
日本習字で「師範」を獲得した私の体験談
師範資格を持っている私の体験談です!
それは、小学校2年生の冬のことでした。父に何気なくすすめられた書道。『やってみたい』と伝えたその足で、すぐ書道教室へ向かった事を記憶しています。
それまでは、学校の授業の一環で行う程度の書道。楽しいなと思うくらいでした。
通い始めてからは、毎月のお手本とにらめっこしながら筆を運び、作品ができあがると先生に提出。朱色の墨の筆で、何度も訂正してもらい、時には先生が私の手をとって筆を走らせることもありました。
繰り返し練習を行い、段級位が上がる中で、毎年行われる書道コンクールや競書大会、年初めの書初め大会が楽しみなイベントでした。
練習の成果もあり、何度となく表彰され、作品が展示されると家族全員で見に行き、誇らしかった思い出があります。
高校進学と共に地元を離れなければならなかったため、そこで書道を辞めてしまいましたが、書道を習っていた8年間があるおかげで、さまざまな経験ができました。
一文字目の筆を置くときの緊張感。
やり直しがきかないからこそ、集中して1つの作品を完成させた後の達成感と充実感。
書道を習っていなかったら味わえなかった経験だと感じています。
大人になった現在でも、書道を習っていた経験は確実に活かされていると実感しています。
大人の趣味として、また始めるのもいいかなと思っています。
まとめ
今回、「日本習字」に焦点を当てて、書道の魅力についてお伝えしてきました。
書道を習うことで、「美文字が手に入る」「集中力・忍耐力がつく」「教養が身につく」といったさまざまなメリットがありました。
そして、ゆっくり自分と向き合って書道を楽しむことは、時間に追われ忙しい日常を少しでも忘れさせてくれるよい機会にもなるでしょう。
初めての方も以前習っていた方も、書道を趣味にして心豊かな生活を送ってみませんか?
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