産業カウンセラーってどんな資格なの?
資格を取得して何かメリットはあるの?
とイメージがつかない方も多いのではないでしょうか。
これから資格を取得したいけど、今後どんなシーンで役立つかわからなければ、資格取得のやる気が出ないですよね。
この記事では、以下の内容を紹介します。
- 産業カウンセラー資格の概要
- 受験資格
- 試験内容
- 資格取得にかかる費用
- おすすめの勉強法
この記事を最後まで読むことで、産業カウンセラー資格を取得するメリットを理解でき、自分が資格を取得すべきか理解できるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
Satomi
好奇心と学習欲が旺盛です。分かりにくいものを整理して自分がスッキリし、ついでに便利にすることが生きがい。
簿記資格は仕事に、カウンセラー資格は子育てや生き方に活用しています。世の中にどんな資格があるのか、まだまだ興味津々です。
一緒に学んでいきましょう。
産業カウンセラーとは
知名度の高い産業カウンセラーですが、あまり知られていない面もあります。まずは資格について説明します。
産業カウンセラーは民間資格
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会による認定試験です。協会の実施する試験に合格し、会員になると「産業カウンセラー」と名乗って活動ができます。2001年までは旧労働省認定の技能審査でしたが、現在は民間資格です。
職場で働く人とその家族をサポートする活動
産業カウンセラーという単語から職場のメンタルケア専門職というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、実際は家族もサポート対象です。
また、心の問題を扱うカウンセリングだけでなく、組織に働きかけて環境を整えたり、キャリア相談にも応じます。社会に生きる人々が個々の力を発揮できるように広く支援することが産業カウンセラーに求められる活動です。
幅広い活動領域
産業カウンセラーには3つの活動領域があります。
- メンタルヘルス対策への援助
- キャリア開発への援助
- 職場における人間関係開発への援助
とはいえ、必ずしも1人の産業カウンセラーがすべてを担うわけではありません。資格を持つ方々が得意とする領域で力を発揮することにより、社会全体を生き生きと働きやすい環境にしていくことが目的です。
産業カウンセラー資格の取得をおすすめしたい人
産業カウンセラーは様々な活かし方ができます。特におすすめしたい人を3つに分けて紹介します。
- 現在の仕事に活かしたい人
- カウンセラーとして働きたい人
- 傾聴スキルを人間関係に活かしたい人
それぞれ詳しく解説します。
現在の仕事に活かしたい人
「今」をより充実させたいと感じて、産業カウンセラーの資格を取得する方も多いです。例えば、以下のような職種の方が産業カウンセラーの資格を取得しています。
- 人事労務の担当者
- 管理職
- 看護や介護の従事者
このように、様々な職種の人が自らの仕事の質を上げるため勉強に臨んでいます。
所属企業のバックアップ制度や、ハローワークの給付金を受けられる場合もあり、社会的な側面でも重要視されている資格だといえます。
カウンセラーとして働きたい人
心をケアするカウンセラーになりたい人にも産業カウンセラーは人気です。公認心理士や臨床心理士は大学院課程が必要など受験のハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。
その点、産業カウンセラーは養成講座を受講することで受験できます。大学と比べ抑えた費用・時間で社会的認知度と信頼性の高い資格を得ることができます。
傾聴スキルを人間関係に活かしたい人
職場の人間関係の改善をはじめ、夫婦関係や子育てといった家庭問題、地域活性化まで、聴くスキルで人間関係を円滑にしたい人にも、おすすめの資格です。
産業カウンセラー養成講座では、傾聴を中心とした面接の体験学習を104時間ほど行います。これだけの時間数、実践学習ができる傾聴講座はほとんどありません。
時間をかけてスキルを身に着けたい方におすすめの資格だといえます。
産業カウンセラー試験は合格率60%前後の難易度
試験データによると、合格率は以下の通りです。
試験カテゴリ | 合格率 |
---|---|
学科試験 | 72.5% |
実技試験 | 59.3% |
総合合格率 | 63.6% |
このデータから、受験資格を得るまでの学習を基礎として試験対策を行えば、半数以上が合格できる試験だといえます。
産業カウンセラーの受験資格には養成講座の修了証が必要
産業カウンセラー試験を受験するには3通りの方法があります。
- 協会の養成講座を修了する
- 大学院での心理学系専攻と実務経験
- 4年生大学で公認心理士となるための科目履修、
そのため、はじめて心理系の勉強をする人でも協会の養成講座を受けることで、受験資格を得られますよ。
産業カウンセラー養成講座の概要と費用
産業カウンセラーの資格を取得したい場合に壁となるのが「受験資格」でしょう。
そんな方でも「養成講座」を受講することで、受験資格を得られます。ここでは、養成講座の概要や費用、割引制度について詳しく解説します。
理論学習と面接体験学習の2軸構成
産業カウンセラーの資格養成講座は理論学習(約47時間)と面接体験学習(約104時間)の2本軸で構成されています。
理論学習:テキストに沿った講義をe-Learningで受け、レポートを提出、確認テストを行う
面接体験学習:聴き手、語り手、傍聴者の3役になり、カウンセリングを体験する
6ヵ月コースと10ヵ月コース
受講コースは年間で4種類あります。
コース名 | 講座期間 | 受験時期 | 講座終了から学科試験までの期間 |
春開講6ヵ月コース | 4月末~10月末 | 翌年1月 | 2ヵ月半 |
春開講10ヵ月コース | 4月末~翌年2月末 | 翌年6-7月 | 4ヵ月弱 |
秋開講6ヵ月コース | 11月~翌年4月末 | 翌年6-7月 | 2ヵ月弱 |
冬開講10ヵ月コース | 1月中旬~10月下旬 | 翌年1月 | 2ヵ月半 |
6ヵ月コースは短期集中で取得したい人に、10ヵ月コースは仕事などと両立しゆっくり進めたい人に向いています。
ただし、講座終了から学科試験までの期間が長すぎると、せっかく定着した知識が抜けてしまうので、注意が必要です。ご自身のスケジュール感を踏まえてコースを比較しましょう。
面接体験学習は受講スタイルを選べる
受講スタイルは3種類から選べます。
コースによって、通学とZOOMの割合は異なりますが、どのコースも合計104時間になるように設定されています。
通学(スクーリング)では対面カウンセリング、ZOOMではオンラインカウンセリングを学習します。
対面学習は同じ空間にいることでリアルな空気を感じ取れるメリットがあります。
一方、オンライン学習では通信トラブルの対処も実践的に学べるメリットがあります。
スタイル | 通学の時間数 | ZOOMの時間数 | こんな人におすすめ |
通学コース | 104時間 | ― | 対面を重視したい、仲間と近い距離で学びたい |
オンラインコース | 28時間 | 76時間 | いいとこどりをしたい、通学時間を節約したい |
フルオンラインコース | ― | 104時間 | 通える距離に教室がない |
受講料と割引制度
受講料は352,000円(教材費込・税込)です。割引制度には以下があります。
- 早期申込割引:17,600円引
- 説明会参加割引:5,500円引
- 会員割引:35,200円引
- 賛助会員割引: 35,200円引
ただし、割引制度を重複で利用することはできないので、注意してください。
ハローワークの一般教育訓練給付制度
産業カウンセラー養成講座は、厚生労働大臣の指定する教育訓練です。一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者または離職者)は、養成講座修了後にハローワークで手続きをすることで、受講料の20%が支給されます。
一般教育訓練給付制度を利用できると、お得に資格を取得できるので、会社員の方は事前に確認しておきましょう。
産業カウンセラー試験の概要と費用
それでは、試験概要や時期、費用について確認していきましょう。
実施は年2回
産業カウンセラー試験が実施されるのは1月と、6月から7月にかけての年2回です。
学科試験はマークシート、実技試験は受験者同士でロールプレイを行います。
両試験を終えて結果が届き、どちらかのみが合格だった場合、次回は不合格だった科目だけを受けられます。
たとえば、1回目の試験で実技試験のみ合格した場合、次回の試験が免除され、学科試験だけ合格すれば、資格を取得できます。
受験費用
受験費用は以下の通りです。
学科試験のみ:14,710円
実技試験のみ:22,410円
学科試験+実技試験:36,710円
実技試験の免除がある
産業カウンセラー養成講座では、指導者による実技能力評価が行われます。スキルが一定の基準に達したと認められると実技試験が免除されるという、受験者にかなりのインパクトがある制度です。
試験形式ではなく全期間の総合評価なので、対策を講じるよりも、素直に熱心に「聴く姿勢」を学ぶことが大切です。
産業カウンセラー試験の効率的な勉強方法
受講生の大半は社会人のため、勉強時間は限られています。試験に向けどのように勉強を進めていくとよいか解説します。
学科対策:e-Learningで基礎固め
養成講座の理論学習で使用するのは以下の2つです。
- テキストⅠ
- テキストⅡ
これらのテキストにはカウンセリング理論、心理、精神医学、労働法規など学科試験の試験範囲がすべて含まれているので、丁寧に読み込むことで、資格を取得できる可能性が高まります。
また、定期的に提出するレポートで、章のふりかえりを行えば知識が定着しやすいでしょう。
学科対策:演習問題の反復
養成講座が終わってから試験までの1~2ヵ月間は、できるだけ実践問題を解くことに集中しましょう。というのも、テキストの内容をすべて暗記しようとするのは現実的ではないためです。
その代わりに、問題を繰り返し解いていくことで、よく出題されるポイントや選択肢の傾向に自然と慣れていくことができます。これが試験対策の効果的な方法です。
教材については、テキストⅠとⅡは受講料に含まれていますが、さらに問題集を追加で購入することもできます。また、e-Learningの各章確認テストは、システムが使えなくなる前に保存しておくことをおすすめします。
保存しておけば、講座終了後も継続して試験対策に活用できるからです!
実技対策:指導者を真似る
養成講座で実技試験を取得することは、合格への大きな近道となります。
興味深いことに、経験豊富な指導者ほど「自分の考えや思いを横に置いて、クライアントの気持ちに寄り添うこと」の難しさについて話すことが多いのです。そのため、産業カウンセラーの行動原則にも、継続的な自己研鑽の重要性が明記されています。
実技の上達のコツは、「よくできた」「上手く聴けた」と感じた時こそ、さらなる改善点を探してみることです。指導者の繊細な感性や適切な言葉の選び方を意識的に学ぶことで、より深い傾聴の姿勢が身についていきます。このような姿勢で学ぶことで、総合評価も自然と高めることができるでしょう。
まとめ 産業カウンセラー資格はあらゆる仕事や人との関わりに役立つ
産業カウンセラーは、職場での人間関係やメンタルヘルスをサポートする専門家です。この資格の最も重要な特徴は、相手の気持ちに寄り添いながら話を聴く技術を学べることです。この技術は、単に話を聞くだけでなく、相手の気持ちを深く理解し、適切なサポートができるようになることを目指しています。
また、産業カウンセラーは職場に関する法律や制度についても幅広く学びます。例えば、働く時間のルールや、ハラスメント防止、メンタルヘルスケアなどの知識です。これらの知識があることで、職場での様々な問題に対して、適切なアドバイスができるようになります。
資格を活かせる場所は意外と多様です。
- 企業の人事部門での相談担当
- 社員の心の健康をサポートする相談室
- 人材育成の担当者
- 職場環境の改善を進める担当者
特に最近は、リモートワークの広がりや働き方の変化により、従業員の心の健康に注目が集まっています。そのため、産業カウンセラーの知識とスキルは、以前にも増して重要になってきています。
この資格は、専門のカウンセラーとしての道だけでなく、一般の企業での仕事にも役立ちます。また、定年後の新しい活動を考えている方にとっても、人を支援する技術と知識を活かせる魅力的な選択肢となるでしょう。
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